10月の役員会で、集会所の土地の話になりました。登記の名義は、20年前の会長個人のままです。「認可地縁団体になれば会の名前で登記できる」という話も出ます。けれど、うちの会がもうそうなのか、誰も答えられません。
認可地縁団体(にんかちえんだんたい)は、市町村長の認可を受けて法人になった自治会・町内会です(地方自治法第260条の2)。会の名前で土地や建物を登記できます。全国では、およそ5つに1つの会が法人です。うちの会がそうかは、規約と引き継ぎの書類で見当がつきます。最後は市の担当課で確かめられます。
私たちは自治会の会計の道具を作る会社で、市の担当者でも司法書士でもありません。条文と市の手引きは原文から引きます。
会の名前で集会所の土地を持てるようにする仕組み。それが認可地縁団体です
自治会は、法的には「権利能力なき社団」です(長野市の『地縁団体法人化の手引き』1ページ)。会の名前で物を持てない団体という意味です。そのため土地は会長などの個人名義で登記され、名義人が転居したり亡くなったりすると、名義を変える手間や相続の問題が出ます。
これに対処するため、1991年4月2日の地方自治法の改正で、自治会が法人になる道ができました(同1ページ)。第260条の2第1項は、地縁による団体が「市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」とします。地縁は、住んでいる場所でつながることです。総務省の『認可地縁団体制度の概要』も、「土地、集会施設等の不動産を団体名義で登記できる」と書いています。
法務局で法人の登記をする必要はありません(長野市の手引き1ページ)。市町村長が認可し、そのことを役所が広く知らせます。これを告示といいます(第260条の2第10項・第13項)。認可されても、市の監督下に入るわけではありません。第6項は、認可が団体を「行政組織の一部とすることを意味するものと解釈してはならない」としています。
全国の数は総務省の概要にあります。2023年4月1日現在で56,078団体。地縁による団体は、およそ296,000です。56,078 ÷ 296,000 ≒ 0.19 で、法人の会は約5つに1つ。分母が概数なので、目安です。
法人でない自治会と比べると、違いは7つ。どれも地方自治法に条文があります
一宮市の『町内会 会計事務の手引』は、法人でない町内会には「運営について法律等で決められたルールはありません」と書きます(1ページ)。規約がすべてです。法人になると、その上に地方自治法の決まりが7つ乗ります。
名義は会の名前になり、会員は区域に住む個人なら誰でも入れます。世帯は会員にできません。加入を断るには正当な理由が要ります。規約には8つの項目が要り、変えるには、規約に別の定めが無ければ会員全体の4分の3以上の同意と、市町村長の認可が要ります(第260条の3)。財産目録と、会員の名簿(法令では構成員名簿)も備えます(第260条の4)。
総会は毎年1回以上開き、5日前までに知らせます(第260条の13・第260条の15)。代表者などが替われば市に届け出ます。解散には、規約に別の定めが無ければ会員全体の4分の3以上の賛成が要ります(第260条の21)。ほかの条文は表のとおりです。
法人でない自治会との違い7つ
| 決まり | 認可地縁団体(法人) | 法人でない自治会 |
|---|---|---|
| 土地・建物の名義 | 会の名前で登記・所有できる(第260条の2第1項) | 会長などの個人名義になる |
| 会員 | 区域に住む個人なら誰でも入れる。世帯は会員にできない。正当な理由なく断れない(第260条の2第2項第3号・第7項) | 規約で決める |
| 規約 | 8項目が要る。変えるには会員全体の4分の3以上の同意と市町村長の認可(第260条の2第3項、第260条の3。同意の割合は規約に別段の定めがあれば別) | 規約で決める |
| 備えておく書類 | 財産目録と構成員名簿(第260条の4) | 法律上の決まりはない |
| 総会 | 毎年1回以上。5日前までに通知(第260条の13・第260条の15) | 規約で決める |
| 届け出 | 代表者などが替わったら市町村長に届け出(第260条の2第11項) | 法律上の決まりはない |
| 解散 | 会員全体の4分の3以上の賛成(第260条の21。規約に別段の定めがあれば別) | 規約で決める |
表は指で横に動かすと、右の列が見えます
4分の3の数え方は、総会の成立要件の記事にあります。
うちの会はどちら? 規約の「市長の認可」と、引き継ぎの箱の書類で見当がつく
法人だけに課される決まりは、書類に跡を残します。手元で見られる手がかりは5つです。
| 手がかり | どこで見るか | なぜ手がかりになるか(根拠) |
|---|---|---|
| 規約変更の条に「市長(町長・村長)の認可」とある | 規約の最後の方 | 法人の規約変更は市町村長の認可で効力が出る(第260条の3第2項)。北秋田市・取手市の法人向け規約例にもある |
| 財産目録がある | 引き継ぎの箱、決算の綴り | 法人は毎年作って事務所に備える(第260条の4第1項) |
| 構成員名簿が個人ごと(家族も1人ずつ) | 名簿 | 法人の会員は個人(第260条の2第2項第3号、長野市の手引き5ページ) |
| 市の告示事項証明書・印鑑登録証明書、団体の印鑑登録の控え | 引き継ぎの箱、金庫 | 認可を受けた団体の分しか発行・登録されない(第260条の2第12項、長野市の手引き8ページ) |
| 代表者の変更届・告示事項変更届出書の控え | 議事録の綴り | 法人は代表者が替わると届け出る(第260条の2第11項) |
見つけやすいのは規約変更の条です。北秋田市の法人向け規約例は第37条、取手市は第36条で、4分の3以上の議決と市長の認可を求めています。法人でない会の規約に、この文言を書く理由はありません。
集会所の登記が会の名前になっていたら、法人かもしれません。長野市の手引きは、法人でない自治会は団体名義で登記できないと書いています。
手がかりが見つからなくても、法人かもしれません。書類が引き継がれていないこともあります。最後は市の担当課で確かめます。告示するのは市町村長で(第260条の2第10項)、告示した事項の証明書は「何人も」請求できます(同第12項)。長野市はこれを「地縁団体台帳の写し」と呼びます(8ページ)。担当課は、長野市なら地域活動支援課、船橋市なら自治振興課です。
2021年11月から、土地や建物が無くても認可を受けられます
船橋市は、2021年からの改正を4つ挙げます。どれも法人の決まりです。
1991年4月2日に制度ができました。2021年9月1日からは、総会に出ない人も、規約か総会の決議があれば電子で表決できます(総務省の2021年11月5日の事務連絡、船橋市)。同じ年の11月26日には、認可の目的が変わりました。手引きによれば、それまでは「不動産又は不動産に関する権利等を保有するため」でした。それが「地域的な共同活動を円滑に行うため」に替わりました(2ページ)。船橋市と岡山市も同じ日付です。
2022年8月20日からは、全員の承諾があれば総会を開かず書面や電子で決議できます(第260条の19の2、総行市第88号、船橋市)。2023年4月1日には、同じ市町村のほかの認可地縁団体と合併できるようになりました(第260条の38)。
- 1991年4月2日制度ができ、市町村長の認可で自治会が法人になれるようになった
- 2021年9月1日総会に出ない人が、規約か総会の決議があれば電子で表決できるようになった
- 2021年11月26日土地や建物を持っていなくても、認可を受けられるようになった
- 2022年8月20日全員の承諾があれば、総会を開かず書面や電子で決められるようになった
- 2023年4月1日同じ市町村のほかの認可地縁団体と合併できるようになった
土地や建物が無くても認可を受けられるのは、2021年11月26日からです。 2023年4月1日の改正は合併の規定で、土地の話とは別です。
不動産が無くても法人になれる例として、手引きは「高齢者等への生活支援」「地域交通の維持」などを挙げます(2ページ)。同じページには、契約の主体になれる、個人の財産と混ざらないといった利点も5つ並びます。
認可の要件は4つ。区域に住む人なら誰でも入れて、その相当数が会員であること
要件は第260条の2第2項に4つあります。長野市の手引き2〜3ページの説明を添えます。
1つ目は、住民の連絡や集会施設の管理などの共同活動を目的にし、実際に活動していること。長野市では、前年度の活動の報告書で示します。2つ目は、区域がはっきりしていることです。町・字・地番のほか、道路や河川を境にしてもよいとしています。
3つ目は、区域に住む個人は誰でも会員になれて、その相当数が会員であること。年齢・性別・国籍は問いません。4つ目は規約で、目的・名称・区域・主たる事務所の所在地・構成員の資格・代表者・会議・資産の8項目を定めます(第3項)。書き方は規約のひな形の記事にまとめました。
会員は個人だけで、世帯は会員にできません(総務省の概要、長野市の手引き6ページ)。ほかの団体は「賛助会員」としてなら活動に加われます。加入を拒まず(第7項)、民主的に運営し(第8項)、特定の政党のために使わないことも決まっています(第9項)。
「相当数」の数字は、法律にありません。長野市では、区域の住民統計の7割です。区画整理などで人口が急に増えた所は6割(3ページ)。区域の住民が300人なら、300 × 0.7 = 210人を名簿に載せる計算になります。6割の地域なら180人です。これは長野市の基準で、全国共通ではありません。名簿には、家族も小さな子どもも1人ずつ載せます(5ページ)。
当たらない団体も、長野市の手引きにあります(1ページ)。年齢で限る青年団、性別で限る婦人会、目的が限られたスポーツ少年団や伝統芸能保存会です。名前だけの会や、ごく少人数の集まりも認められません(2ページ)。
受けられる
- 区域に住む人なら誰でも会員になれる自治会・町内会
- 会員は個人で、年齢・性別・国籍を問わない
- 区域が町名・番地などではっきりしている
受けられない
- 年齢や性別で会員を限る団体(青年団・婦人会)
- 目的が限られた団体(スポーツ少年団・伝統芸能保存会)
- 名前だけの会や、ごく少人数の集まり
法人になった会は、財産目録・名簿・会長交代の届け出が毎年の仕事に加わる
財産目録は、会の土地・建物・預金などの一覧です。認可を受ける時と毎年1月から3月の間に作り、事務所に備えます(第260条の4第1項)。事業年度を決めている会は、その終わりに作ります。作り方は収支報告書の記事にある財産目録の節にあります。構成員名簿も備え、入会や退会のたびに直します(同第2項)。
届け出は、告示した事項が変わったときに出します(第260条の2第11項)。名称・目的・区域・事務所・代表者の氏名と住所などです。手引きは「特に、自治会長、区長などの代表者を変更した場合は、忘れずに届出をしてください」と書きます(8ページ)。書類は引き継ぎ書の記事にある会長交代の節にまとめました。
法人になると、告示した内容の証明書を取れ、団体の名前で印鑑登録もできます(長野市の手引き8ページ)。名義が昔の会員のまま残った不動産には、登記の特例が第260条の46にあります。手続きは市と法務局、司法書士に相談してください。
税は、法人税法では公益法人等、消費税法では別表第三の法人とみなされます(第260条の2第16項・第17項)。長野市の手引きは、課税関係は「原則として認可の前と変わりありません」とします(9ページ)。住民税などは、市の窓口で確かめます。
法人にするか迷ったら、総会の前に市の窓口へ。入口までの6段
流れは長野市の手引き4〜7ページのもので、市によって違います。
まず役員会で理由を話し合い、市に相談します。長野市は「必ず事前に地域活動支援課へご相談ください」と書きます(5ページ)。規約・区域の図・構成員名簿を用意したら、市に見てもらいます。この確認は「修正がなくなるまで行います」(4ページ)。
次に、今の規約に沿って総会を開きます。議案は、新しい規約の承認、認可の申請、申請する代表者の選任の3つです(7ページ)。議事録は申請書類になるので、議事録の書き方の記事で項目を確かめます。
申請書には、規約・議事録・名簿・区域の図面・代表者の受諾書と、活動を示す書類を添えます(5ページ)。活動を示す書類は、直近の総会の予算・決算・事業報告などです。土地や建物を持つか持つ予定の場合だけ、保有資産目録も付けます。市が告示した日から法人です(4ページ)。
- 役員会で理由を話し合い、市の担当課に相談する
- 規約・区域の図・構成員名簿を用意する
- 市に規約と区域を見てもらい、直す
- 今の規約に沿って総会を開き、3つの議案を決める
- 申請書に規約・議事録・名簿などを添えて出す
- 市が認可して告示した日から法人になる
法人にするかは、役員会と市の窓口で決めることです。私たちは、土地や建物の名義に困っているなら意味は大きいと考えます。困っていないなら、毎年の財産目録・名簿・届け出が増える分と比べて決めればよいと思っています。
最初にやることは1つです。前任者の箱から規約を出し、規約変更の条を開きます。「市長の認可」の文字が無ければ、市の担当課に電話で聞きます。
よくある質問
認可地縁団体になったら、法務局で法人の登記をしますか。 要りません。市町村長が認可して告示した日から法人になります(地方自治法第260条の2第10項、長野市の手引き4ページ)。会の名前で土地を登記するときは、市の告示事項証明書を添えて申請します(同8ページ)。
認可地縁団体になると、税金はかかりますか。 法人税法では公益法人等、消費税法では別表第三の法人とみなされます(第260条の2第16項・第17項)。課税関係は、長野市の手引きによれば「原則として認可の前と変わりありません」。住民税などの扱いは市の窓口で確かめてください。
土地や建物を持っていない自治会でも、認可を受けられますか。 受けられます。2021年11月26日の改正からです(船橋市、岡山市、長野市の手引き2ページ)。土地や建物を持つか持つ予定があるときだけ、申請に保有資産目録を付けます(長野市の手引き5ページ)。
会員を世帯ごとにしている自治会でも、法人になれますか。 法人の会員は個人だけで、世帯を会員にはできません(総務省の概要、長野市の手引き6ページ)。規約の会員の条を個人で書き直し、名簿も家族を1人ずつ載せる形にします。
法人をやめることはできますか。 総会の決議で解散できます。規約に別の定めが無ければ、会員全体の4分の3以上の賛成が要ります(第260条の21)。解散後の財産の扱いは、市の担当課に相談してください。
出典
- 地方自治法(e-Gov法令検索)。第260条の2〜4、13、15、21、38、46。
- 総務省『認可地縁団体制度の概要』(PDF)。
- 総務省『認可地縁団体制度の改正』(PDF)。
- 総務省 通知 総行市第88号(PDF)。
- 総務省 事務連絡 2021年11月5日(PDF)。
- 長野市『地縁団体法人化の手引き』令和8年10月改訂(PDF)。
- 船橋市『町会・自治会等の法人化(認可地縁団体)』(ページ)。
- 岡山市『認可地縁団体について』(ページ)。
- 一宮市『町内会 会計事務の手引』(PDF)。1ページ。
- 北秋田市 規約例(PDF)。第37条。
- 取手市 規約例(PDF)。第36条。
この記事はAIが下書きし、運営者が内容を確認して公開しています。制度や手続きは自治体や団体の規約によって異なります。