総会まであと1週間。2026年度の決算報告書はでき上がり、監事の監査も済みました。次年度繰越金27,930円は、通帳と手元の現金に合っています。議案書も配り終えました。気がかりは当日の質問です。前任者の残した去年の議事録には「決算報告について質問があり、会計が回答」とあるだけ。何を聞かれたのかは書いてありません。手が挙がったとき、紙のどこを見ればよいのでしょう。
一宮市の手引きをもとに整理すると、決算報告で会計が聞かれやすいのは3つです。予算と大きく違った行、繰越金の増減、支出の中身です。答えの多くは、決算書の備考と出納帳の摘要にあります。総会の前に、差が5,000円以上の行と、予算を超えた行の理由を1文ずつ書き出しておきます。それで1分あまりの説明と、質問への答えがそろいます。
総務省の『コミュニティ団体運営の手引き』の「運営とお金の管理」は、8ページにこう書いています。「決算報告書は、年度末の総会で会員の承認を得ます。役員には、会員などから預かったお金を団体の目的に沿って支出したことを説明する責任があるからです。」私たちはこれを、質問は会計を責めるためのものでなく、承認の前の確かめだと読んでいます。決算報告書そのものの作り方は収支報告書の書き方に書きました。
決算報告で詰まる質問は3種類。予算と違う行、繰越金、支出の中身です
一宮市の『町内会 会計事務の手引』は、総会での報告に向けて準備するものをこう書いています。「予算額と決算額に大きな違いがあった項目、前年度と大きく変化した項目などについて理由や内訳が分かる資料を準備しましょう」(8ページ)。9ページには役員会の飲食費のQ&Aがあり、「総会等で使途や内訳等の質問を受けた時に答えることができるように」領収書と帳簿を残しておく、と続きます。
この2か所をもとに、聞かれやすい質問を3種類に分けました。分け方は私たちの整理で、手引きにある区分ではありません。例の会は30世帯・会費5,000円の自治会です。
まず、予算と違う行。例の会では自治会費が予算150,000円に対して145,000円で、5,000円足りませんでした。次に繰越金の増減があります。前年度の30,000円が27,930円になり、2,070円減りました。前年度と大きく変化した項目の代表が、この行です。
支出の中身を問う質問が3種類目です。「慶弔費の10,000円は何に使ったのか」という形で出ます。雑収入の中身を問う質問も、出納帳を開けば答えられるので、同じ扱いで構いません。
説明の原稿は8行で足ります。読むのは合計と、差が5,000円以上の行だけ
全部の科目を読み上げると、説明は長くなり、どこが大事かも伝わりません。私たちが勧める読む行の基準は2つです。決算額と予算額の差が5,000円以上の行と、支出で予算を超えた行。手引きに数の基準は無く、一宮市の手引きも「大きな違い」と書くところまでです。5,000円は私たちの目安なので、会の規模に合わせて変えてください。
例の会でこの基準に当たるのは4行です。自治会費(5,000円少ない)、事務経費(1,500円の予算超え)、慶弔費(10,000円少ない)、予備費(20,100円少ない)。雑収入は70円少ないだけなので読みません。収支報告書の記事では、読み上げる科目を予備費と慶弔費の2つにしました。ここで自治会費と事務経費を足したのは、会費の不足と予算超えが質問の出やすい行だからです。
読む順は、収支報告書の記事で決めた総会での読み上げ順のままです。合計、差の大きい科目、次年度繰越金と進み、最後に監事へ渡します。読む行には理由を1文ずつ添えます。
決算報告の説明原稿(例)
| 順 | 読む文 | 秒 |
|---|---|---|
| 1 | 2026年度の決算を報告します。お手元の議案書の決算報告書をご覧ください。 | 7 |
| 2 | 収入の合計は215,030円、支出の合計は187,100円でした。 | 7 |
| 3 | 自治会費は、予算150,000円に対して145,000円で、5,000円少なくなりました。1世帯が未納だったためです。 | 12 |
| 4 | 事務経費は、予算20,000円に対して21,500円で、1,500円多くなりました。印刷代が値上がりしたためです。 | 11 |
| 5 | 慶弔費は、予算20,000円に対して10,000円で、10,000円少なくなりました。件数が予定より少なかったためです。 | 12 |
| 6 | 予備費は、予算20,100円に対して0円で、20,100円少なくなりました。使う場面がなかったためです。 | 10 |
| 7 | 差し引き27,930円を次年度に繰り越します。前年度の繰越金より2,070円少なくなりました。ヘルメット4個を24,800円で買ったためです。 | 14 |
| 8 | 以上で決算の報告を終わります。続いて監事から監査報告をお願いします。 | 7 |
| 合計(403字) | 80 |
表は指で横に動かすと、右の列が見えます
8行で403字です。1分に300字という私たちの目安で読むと、約80秒になります。総会の進め方の記事の例の会では、第2号議案の収支決算に13時41分から49分までの8分を取りました。説明を80秒ほどで終えれば、残りを質問と採決に回せます。
最後の行で、監事に監査報告を渡します。
質問されたら、どの紙を開く? 決算書の行から出納帳、領収書へ4段でたどる
手が挙がったら、最初に質問の科目を聞き取ります。そこから先は、紙を決まった順に開くだけです。
- 質問の科目を聞き取り、決算書のその行を押さえる
- 備考に理由が書いてあれば、それを読む
- 無ければ、出納帳で同じ科目の摘要を見る
- それでも分からない中身は、領収書の番号から1枚を出す
出納帳に答えがあるのは、書くときにそう書いているからです。一宮市の手引きは帳簿の記入について、「「町内会費」「事務用品費」など項目でそれぞれの内容がわかるようにしましょう。さらに内容欄を作り、内容を具体的に記入しましょう」と書いています(7ページ)。摘要(てきよう)は、何のお金かを短く書く欄です。事務経費の行に「印刷代」とあれば、質問にはそこで答えられます。
総会には、6つの紙を持って行くことを私たちは勧めます。決算書、出納帳、領収書の綴り、通帳、前年度の予算書、役員会の記録です。一宮市の会計事務チェックシートにある「総会等での決算報告に必要な資料を準備します」(5ページ)を、紙の名前に置き換えました。出納帳と領収書に同じ番号を書いていれば、4段目は番号で1枚を引き出すだけで済みます。
聞かれそうな8つの質問と、答えの元になる紙
3種類の質問を、例の会の数字で8問に広げました。数を数えた調査ではなく、一宮市の手引きが準備を勧める項目をもとにした私たちの見立てです。「答える人」と「開く紙」も私たちの提案で、総会の前に決めておく欄です。
| 質問 | 種類 | 答える人 | 開く紙 | 答えの例(例の会) | 土台 |
|---|---|---|---|---|---|
| 会費が予算より5,000円少ないのはなぜですか | 予算と違う行 | 会計 | 決算書の備考、集金の記録 | 1世帯が未納でした。5,000円×29世帯で145,000円です | 一宮市 8ページ |
| 事務経費が予算を1,500円超えたのはなぜですか。誰が決めましたか | 予算と違う行 | 会計(理由)、会長(決めた経緯) | 出納帳の事務経費の行、役員会の記録 | 印刷代が値上がりしたためです。経緯は会長から | 一宮市 7・8ページ |
| 予備費を使わないなら、予算に置かなくてよいのでは | 予算と違う行 | 会長(予算案の議案で) | 予算書 | 決算では0円のまま残しています。置き方は予算案の議案でご説明します | 私たちの提案 |
| 繰越金が2,070円減ったのはなぜですか | 繰越金 | 会計 | 決算書の合計、出納帳の什器備品費の行 | 繰越金を除いた収入185,030円に対し、支出が187,100円でした。ヘルメット4個を24,800円で買った年です | 一宮市 8ページ |
| 繰越金があるなら、会費を下げられませんか | 繰越金 | 会長(予算案の議案で) | 予算案 | 会費の額は予算案の議案で決めます | 私たちの提案 |
| 慶弔費の10,000円は、何に使いましたか | 支出の中身 | 会計 | 出納帳の摘要、領収書 | 件数と金額で答えます。相手の名前は言いません | 一宮市 9ページ(名前を言わないのは私たちの提案) |
| 役員会のお茶代は、会費から出してよいのですか | 支出の中身 | 会長 | 会議費の行、役員会の記録 | 金額と回数は会計が答え、出すかどうかは総会で話し合います | 一宮市 9ページ |
| 領収書の無い支出はありませんか | 支出の中身 | 監事 | 監査のチェック表 | 監査で確かめた結果を監事から答えます | 一宮市 7ページ、総務省『監査の考え方』 |
3番目と5番目を予算案の議案に回すこと、6番目で相手の名前を言わないことも、手引きの根拠でなく私たちの考えです。慶弔費は個人の家の出来事にかかわるので、件数と金額で足りると考えています。お茶代をどの科目に入れるかは、科目の記事にまとめました。
会計が答えない方がよい質問もある。決めた経緯は会長、帳簿の正しさは監事へ渡す
会計が答えるのは、数字と理由です。決算書と出納帳に書いてあることなら、その場で言えます。一方で、決めた経緯や是非を問う質問は、会計が1人で抱えない方がよいと私たちは考えています。
事務経費の予算超えで考えます。理由の「印刷代の値上がり」は会計が答えます。では、超えてよいと誰が認めたのか。一宮市の手引きは「高額の支出は、事前に総会や役員会の了承を得ることが必要です」としています(7ページ)。了承したのが役員会なら、経緯は会長が話すのが筋だと私たちは考えます。予算を超えた支出が規約の上で認められるかは、会によって違います。考え方は予算案の記事の、足りなくなったときの節に書きました。
お茶代の質問も同じ形をしています。一宮市の飲食費のQ&Aは「最終的には、そのことに町内会員が納得できるものかどうかです」と答えています(9ページ)。是非を決めるのは会員です。会計は金額と回数を答え、出すかどうかの話は会長に渡します。
帳簿や領収書が正しいかは、監事が答えます。監査の準備の記事で書いたとおり、監事は監査で確かめた項目で答えます。会費や繰越金の使い道は来年度の話なので、予算案の議案に回します。
誰がどの質問に答えるかは、総会の前の週に役員会で決めておきます。総会の進め方の記事で勧めた、15分の集まりと同じ場で足ります。
会計がその場で答える
- 予算と違った理由
- 繰越金が増えた・減った理由
- 支出の件数と金額
会長・監事に渡す
- 予算を超えた支出を誰が認めたか(会長)
- お茶代を会費から出すか(会長)
- 帳簿や領収書が正しいか(監事)
予算案の議案や後日に回す
- 会費を下げる話
- 繰越金の使い道
- その場で確かめられない数字
その場で答えられなければ「確かめて、回覧でお知らせします」と言う
準備をしても、その場で答えられない質問は出ます。領収書の綴りに見当たらない。出納帳の摘要が短すぎる。そのときは「確かめて、回覧でお知らせします」と言い、議長に次へ進めてもらいます。
回覧で知らせる場は、もともと総会の後にあります。小樽市の運営マニュアルは、閉会後に行うこととして「総会の結果については、広報誌や回覧板などを通じ、すべての会員にお知らせします」と書いています(8ページ)。持ち帰った質問の答えをその回覧に添えるのが、私たちの提案です。答える期限は手引きに見当たらないので、役員会で決めてください。
議事録には「後日、回覧で回答」と1行残します。書き方は議事録の記事の、議事の経過の節にあります。
決算の数字そのものに誤りが見つかることもあります。そのときは会計だけで決めず、会長と議長に伝えてください。承認をどう扱うかは、規約に沿って決めることになります。
来年の質問を減らすのは、決算書の説明欄に書く1行の内訳です
同じ質問が毎年出るなら、答えを紙に書いておけば済みます。東松島市のハンドブックは「説明欄には金額の内訳をできるだけ記載して内容が具体的にわかる決算書を心掛けましょう」と書いています(17ページ)。理由は「1年間どのような収入、支出をしながら事業を行ってきたのかを読む人に理解してもらうため」です。
私たちは、想定問答の答えを決算書の備考へ1行ずつ写すことを勧めます。自治会費の行なら「5,000円×29世帯(1世帯未納)」です。未納の残し方は会費の未納の記事にあります。
総会で実際に出た質問と答えは、想定問答に書き足して次の会計に渡します。去年の議事録の「質問があり、会計が回答」の一行で困ったことを、次の人は繰り返さずに済みます。
説明メモに決算の数字を写し、前日に一度声に出して読む
ここまでの数字と原稿を1つのファイルにしました。「決算報告の説明メモ」です。シートは使い方 / 説明メモ / 説明原稿 / 想定問答の4枚で、マクロは入っていません。
自治会_決算説明メモ.xlsx空のファイルです。読む差の目安に5,000円と、想定問答の8問を入れてあります。入力するのは色と枠の付いたセルだけで、シートは保護してあります(パスワードなし)。見本の画像は説明メモのシートです。テンプレートをダウンロード
自治会_決算説明メモ_記入例.xlsx30世帯・会費5,000円の自治会の2026年度決算を例に入れたファイルです。実在の自治会とは関係ありません。見本の画像は説明原稿のシートです。テンプレートをダウンロード入れるのは、年度・前年度繰越金・科目ごとの予算額と決算額・理由の1文だけです。「使い方」のシートには、手順ごとに「何をする」と「どこに入れる」を書きました。「説明メモ」の表では、差が読む差の目安(5,000円)以上の行と、支出で予算を超えた行に「読む」が付き、右の順の列に読む順が出ます。
「説明原稿」のシートでは、読む文と字数と秒が式で出ます。読む行が4つなら、順の7と8は空のままです。「想定問答」には8問の質問と種類、答える人、開く紙を入れてあります。答えを書き、確かめた質問に「済」を付けてください。記入例では2番目の答える人を会長にし、会計が話す理由を答えの欄に添えています。
収支報告書そのものは、収支報告書の記事のテンプレートで作ります。このファイルは、できた報告書の数字を写して説明に使うためのもので、通帳と合わせる欄は持っていません。
今日やることは1つです。収支報告書の数字を説明メモに写し、「説明原稿」のシートを印刷します。前日に一度声に出して読み、シートの秒数と比べて時間を計ってください。
会計が毎年同じ質問で手を止めるのは、去年の答えが次の人に残っていないからです。私たちが「自治会総合支援サービス」で総会資料と議事録を年度ごとに残せるようにしたのは、そこをつなぎたかったからです。
よくある質問
決算報告は会計と会長のどちらが説明しますか。 規約や去年の次第に従ってください。山口市の議事録の参考例は「会計〇〇〇〇に原案を説明させ、次いで監事〇〇〇〇が監査報告を行った」としています(24ページ)。会計が説明し、続けて監事が報告する順です。決めた経緯を聞かれたら、会長に渡します。
金額は1円単位まで読み上げますか。 決算書に書いた数字のまま読むことを私たちは勧めます。議事録と回覧の数字がそろうからです。ただし全部の行は読まず、合計と、差が5,000円以上の行と、予算を超えた行だけにします。
質問が1つも出なかったら、どうすればよいですか。 議長が採決に進みます。会計から質問を促す必要はありません。待つ長さの決まりは見当たらず、私たちは10秒ほど待つことを勧めています。
通帳や領収書を見せてほしいと言われたら。 まず、監査で監事が通帳と領収書を確かめたことを伝えます。見せるかどうかと見せ方は、その場で決めずに役員会で話し合い、後日に知らせる形を私たちは勧めます。見せる義務があるかどうかは、この記事では言い切りません。
総会の直前に、繰越金と通帳が合わないと気付いたら。 合ってから総会に出してください。会長に事情を伝えて日程を相談し、差額の原因を探します。探し方は残高が合わないときの記事にまとめました。
出典
- 総務省『コミュニティ団体運営の手引き』より「運営とお金の管理」(2010年3月31日公表、PDF)。決算報告書は総会で会員の承認を得ること、役員の説明する責任(8ページ)。法令ではなく、団体の運営の手引きです。
- 総務省『コミュニティ団体運営の手引き』より「監査の考え方」(PDF)。監事は監査のあと会員に監査報告を行うこと(60ページ)。
- 一宮市総合政策部市民協働課『町内会 会計事務の手引』(PDF)。会計事務チェックシートの決算報告(5ページ)、高額の支出の了承と帳簿の内容欄(7ページ)、総会での報告等(8ページ)、役員会等の飲食費のQ&A(9ページ)。
- 東松島市『地区自治会ハンドブック【会計編】』令和4年度版(PDF)。説明欄に内訳を書くこと(17ページ)。
- 小樽市総連合町会・小樽市『小樽市町内会運営マニュアル』(2025年3月、PDF)。閉会後に総会の結果を回覧板などで知らせること(8ページ)。
- 山口市『議事録(参考)』『議事録作成のポイント』(PDF)。会計が原案を説明し、監事が監査報告を行う議事録の参考例(24ページ)。
この記事はAIが下書きし、運営者が内容を確認して公開しています。制度や手続きは自治体や団体の規約によって異なります。