2月の役員会が終わり、湯飲みを片づけているところで、会長から4月の総会に出す来年度の予算案を頼まれる。手元にあるのは、去年の総会で決まった2026年度の予算書と、1年分の出納帳です。予算書の合計は、収入も支出も220,100円。決算はまだ締まっていません。3月31日までは、お金がまだ動きます。
予算案は、前年度の予算と決算を横に並べた下書きから作ります。収入を4行置き、支出を3種類に分けて置けば、急な出費に備える予備費は最後に残りとして決まります。前年度繰越金だけは3月31日まで決まらないので、見込みで置き、締めたら差し替えます。議案書1冊のそろえ方と日程は総会資料の記事に書いたので、ここでは予算書1枚の数字の置き方だけを扱います。私たちは自治会の会計の道具を作っている会社で、市の担当者ではありません。決まりごとは、各市が公開している規約例や手引きから引きます。
- 2月24日(水)役員会で、会長から新年度の行事を聞く
- 3月上旬下書きに前年度の予算と決算の見込みを写し、今年度の予算を置く
- 3月31日(水)年度末。出納帳を締める
- 4月8日(木)監事の監査のあと、繰越金と決算の数字を確定の値に差し替える
- 4月11日(日)役員会で予算案の原案を確かめる
- 4月25日(日)総会で予算案を議決する
予算案は、前年度の予算と決算を横に並べた下書きから始めます
白紙から考える必要はありません。所沢市のマニュアルは、予算書を「1年間の活動の予定をお金の面から表した書類」と説明しています(p.24)。過去1年間の活動を振り返って次年度につなぐ意識が大切だと考えられる、とも書いています。一宮市の手引き(p.3)にも同じ趣旨の一文があります。
総会に出す予算書の列は、2つの市の例で同じ形です。
| 資料 | 列の並び |
|---|---|
| 所沢市の作成例(p.12〜13) | 科目 / 本年度予算額 / 前年度予算額 / 比較増減額 / 説明 |
| 美濃加茂市の記載例 | 科目 / 今年度予算 / 前年度予算 / 前年度比 / 摘要 |
| この記事の下書き | 科目 / 前年度予算 / 前年度決算 / 今年度予算 / 増減 / 決算との差 / 説明 |
どちらの例も、比べる相手は前年度の「予算」です。決算の列はありません。それでも私たちは、作る途中では前年度決算の列を横に置くやり方をとっています。会議費のように、決算を見て金額を決める行があるからです。総会に出すときは決算の列を外し、科目 / 今年度予算 / 前年度予算 / 増減 / 説明 の5列に戻します。
前年度決算の列には、収支報告書の決算額をそのまま写します。収支報告書の作り方は収支報告書の記事にまとめました。
収入は4行。会費は世帯数×金額、前年度繰越金は3月31日まで見込みで置く
収入の行は、前年度繰越金・自治会費・補助金・雑収入の4つです。30世帯・会費5,000円の自治会で、2027年度の予算案を作ってみます。会費や補助金の額は計算のための例で、この金額を勧めるものではありません。
自治会費は、世帯数×会費です。5,000円×30世帯で150,000円。2026年度は1世帯が未納で、決算は145,000円でした。それでも私たちは、予算は30世帯で置く立場をとっています。未納を見込んで減らすかどうかは、役員会で決めてください。
補助金は、市から通知された額を入れます。2月に通知が来ていなければ、前年度と同じ40,000円を置き、説明の欄に見込みだと書いておきます。雑収入は預金の利息です。前年度は予算100円に対して決算30円だったので、今年度は30円にそろえます。
手が止まるのは1行目の前年度繰越金です。ここには、前年度の収支報告書の次年度繰越金がそのまま入ります。ところが2月の時点では、前年度はまだ終わっていません。そこで見込みを出します。
2月末の現金が5,600円、通帳が34,030円。合わせて39,630円です。3月には、印刷代9,000円(見込み)と役員会の3,600円を払う予定があります。39,630円からこの2つを引いた27,030円が、見込みの繰越金です。
3月31日に締めてみると、印刷代は8,100円でした。確定した繰越金は27,930円で、見込みとの差は900円。この900円は、差し替えたときに予備費が増える形で表に出てきます。
- 2月末の現金と通帳を足す5,600円+34,030円=39,630円
- 3月に払う予定を引く印刷代9,000円と役員会3,600円
- 見込みの繰越金を置く27,030円
- 3月31日に締めたら確定の額に差し替える27,930円。予備費が900円増える
見込みのまま総会に出すかどうかは、総会が年度の前か後かで変わります。予算を総会で議決する時期は、所沢市の規約作成例第29条では年度が始まる前です。神戸市の規約例1第11条(1)では、年度の終了後2か月以内です。年度の前に総会を開く会では、繰越金は見込みのまま出すことになります。例の会は4月25日の総会なので、締めた数字に差し替えてから出せます。
支出は「決まっている額」「行事から積む額」「決算に寄せる額」に分けて置く
支出は、金額の決まり方で3種類に分けて置きます。この分け方は私たちの整理で、手引きに書いてあるものではありません。考える余地のない行から埋めると、迷う時間が短くなります。
1つ目は決まっている額です。協力費30,000円は連合会などへの会費で、前年度と同じ額を払います。そのまま写して終わりです。
2つ目は、行事から積む額。事業費は、新年度の行事ごとの金額を足して出します。2月24日の役員会で、会長から事業計画の行事を聞いておきます。夏祭り60,000円、防災訓練15,000円、清掃活動9,000円、敬老のお祝い6,000円で、合計90,000円です。2026年度の決算は88,200円でした。
3つ目が、決算に寄せる額です。会議費は予算15,000円に対して決算12,600円だったので、13,000円に下げます。事務経費は、予算20,000円を決算21,500円で超えました。理由は印刷代の値上がりなので、22,000円に上げます。什器備品費は25,000円から15,000円に減らします。2026年度に、ヘルメット4個を24,800円で買い終えたからです。下げる理由も上げる理由も、説明の欄に1行ずつ書いておきます。
どれにも当たらないのが慶弔費です。件数が読めません。2026年度の決算は10,000円(香典5,000円×2件)でしたが、予算は20,000円のまま据え置きます。1件いくらかは、規約や細則の決まりで数えてください。
ここまでで、予備費以外の支出は190,000円になりました。科目を足す、まとめる、名前を変える。どれも予算案と一緒に総会に出して決めます。
予備費は最後に決まる。収入合計からほかの支出を引いた残りです
予備費は、収入合計からほかの支出を引いた残りで決まります。 例の会なら、217,960円−190,000円で27,960円です。こうして出すと、収入と支出の合計は必ずそろいます。美濃加茂市の記載例も、【ポイント】として「収入と支出の合計が一致するようにします」と書いています。
使い道は、座間市自治会総連合会のマニュアル(PDF 5枚目)のとおり、年度内の予算不足や決まっていない事業に充てるお金です。
割合も見ておきます。2026年度の予備費は20,100円で、予算220,100円の9.1%でした。2027年度は27,960円で12.8%。美濃加茂市の記載例は31,000円で、収入511,000円の6.1%です。何%がよいかという目安は、私たちが見た手引きには見当たりませんでした。前年度の予備費と、予算を超えた科目の額を見て判断します。
予備費の中身を分けると、もう一つ分かることがあります。27,960円のうち27,930円は、前年度繰越金です。繰越金を除いた収入190,030円から、予備費を除いた支出190,000円を引くと、30円しか残りません。今年度の会費と補助金で、今年度の支出がほぼ賄える形です。予備費を使い切れば、次の年の繰越金はほぼ0になります。
予備費がマイナスになったら、支出を削るか、収入を見直します。テンプレートの下書きでは、そのとき確かめる欄に「マイナスです」と出ます。
2027年度 収支予算書(案)
| 科目 | 今年度予算 | 前年度予算 | 増減 | 説明 |
|---|---|---|---|---|
| 〔収入の部〕 | ||||
| 前年度繰越金 | 27,930 | 30,000 | -2,070 | 2026年度決算の次年度繰越金 |
| 自治会費 | 150,000 | 150,000 | 0 | 5,000円×30世帯 |
| 補助金 | 40,000 | 40,000 | 0 | 市の補助金。前年度と同じ額で見込む |
| 雑収入 | 30 | 100 | -70 | 預金利息。前年度の決算に合わせる |
| 収入合計 | 217,960 | 220,100 | -2,140 | |
| 〔支出の部〕 | ||||
| 事業費 | 90,000 | 90,000 | 0 | 夏祭り60,000・防災訓練15,000・清掃活動9,000・敬老のお祝い6,000 |
| 会議費 | 13,000 | 15,000 | -2,000 | 前年度の決算に合わせて減らす |
| 事務経費 | 22,000 | 20,000 | +2,000 | 前年度に予算を超えた(印刷代の値上がり) |
| 協力費 | 30,000 | 30,000 | 0 | 連合会などへの会費 |
| 慶弔費 | 20,000 | 20,000 | 0 | 規約による慶弔。件数が読めないので前年度予算のまま |
| 什器備品費 | 15,000 | 25,000 | -10,000 | 前年度にヘルメット4個を買ったので減らす |
| 予備費 | 27,960 | 20,100 | +7,860 | 収入合計から、ほかの支出を引いた額 |
| 支出合計 | 217,960 | 220,100 | -2,140 |
表は指で横に動かすと、右の列が見えます
総会で聞かれやすいのは、繰越金が減った理由と、増減の大きい行
総会で質問が出やすい箇所は、私たちの見る範囲では3つです。
1つ目は、前年度繰越金が30,000円から27,930円に減った理由です。2026年度は、ヘルメット4個を24,800円で買った年でした。繰越金を除いた収入185,030円では支出187,100円をまかなえず、繰越金から2,070円を使っています。前年度の予算も、予備費を除いた支出を、繰越金を除いた収入より多く組んでいました。テンプレートの下書きでは、確かめる欄の「前年度の、繰越金を除いた収入 − 支出」にこの −2,070 が出ます。
2つ目は、増減の大きい行。什器備品費の −10,000円と事務経費の +2,000円は、説明の欄に理由を書いてあります。予備費の +7,860円は、ほかの支出が合わせて10,000円減り、収入が2,140円減った差です。
3つ目は、決算と離れたまま据え置いた行です。慶弔費は決算10,000円に対して予算20,000円で、件数が読めないから据え置いた、と答えます。
会費を変える話が出ることもあります。神戸市の規約例1は第7条(1)で「会費の額は、事業執行上必要な経費をもとに予算案のなかで定め、総会において決める」としています。規約の本文に金額を書いている会では規約の変更になることを、規約の記事に書きました。
年度の途中で足りなくなったら、予備費、流用、補正予算の順に考えます
2027年6月の役員会で、防災用のテントを1張30,000円で買う話が出たとします。什器備品費の予算は15,000円で、これはほかの備品に使う予定です。考える順番は、予備費、流用、補正予算です。
まず予備費から充てられないかを見ます。座間市のマニュアルのとおり、予算不足に充てるためのお金です。誰の判断で使えるかは、規約や細則で確かめます。
次が、科目の間でお金を回すことです。これを流用(りゅうよう)と呼びます。美濃加茂市の記載例は、予算書の下に「※科目間の流充用を認める。」と書いています。自分の予算書にこの一文があるかを見てください。私たちは、回した額と理由を役員会の記録に残すことを勧めています。年度の途中で予算の進み具合を見る方法は、会計テンプレートの記事にあります。
3つ目が、予算そのものを変える補正予算です。富田林市の参考例は第31条で、予算は総会の議決で定め、「これを変更する場合も同様とする」としています。臨時総会は、同じ参考例の第15条4項が「役員会において必要と認めたとき」などに開くとしています。
神戸市の規約例1は形が違います。第12条(特例)は、規約や予算書などに明文のない事項でも、事業執行上必要なら役員会の決議で実行できるとします。ただし「直近の総会において報告しなければならない」としています。どれもその市の例で、自分の会の規約が先です。臨時総会の成立と可決に要る数は、総会の成立の記事にまとめました。
予備費から充てる
- 予算書の予備費の範囲で
- 予算不足や決まっていない事業に充てる(座間市)
- 誰が決めるかは規約や細則で確かめる
科目の間で回す(流用)
- 予算書に「科目間の流充用を認める」の一文があるとき(美濃加茂市)
- 収入と支出の合計は変わらない
- 回した額と理由を役員会の記録に残す
補正予算
- 予算そのものを変える
- 富田林市の参考例は、変えるときも総会の議決
- 臨時総会を開く
テントの例で、補正予算を組んでみます。予備費を全部使うと、秋以降の急な出費に備えるお金が残りません。そこで予備費からは20,000円にとどめ、残りの10,000円は夏祭りの予算から回します。
| 科目 | 当初予算 | 補正額 | 補正後予算 | 理由 |
|---|---|---|---|---|
| 事業費 | 90,000 | -10,000 | 80,000 | 夏祭りの運営費を60,000円から50,000円に |
| 什器備品費 | 15,000 | 30,000 | 45,000 | 防災用のテント1張 |
| 予備費 | 27,960 | -20,000 | 7,960 | テントの残りに充てる |
| 支出合計 | 217,960 | 0 | 217,960 |
収入も支出も、217,960円のまま変わりません。夏祭りの額を減らすのは、総会で決めた行事の額を変えることです。規約が変更にも総会の議決を求めているなら、補正予算として臨時総会に出します。
決算では、テントの30,000円は什器備品費に入ります。
3月31日に締めたら数字を差し替え、4月11日の役員会で原案にする
3月31日に出納帳を締めると、前年度繰越金が決まります。4月8日の監査で決算の数字に直しが入らなければ、下書きの前年度決算の列と繰越金を、確定の値に差し替えます。例の会では、予備費が27,060円から27,960円になります。
差し替えた予算案は、4月11日の役員会で原案にします。富田林市の参考例も、第17条2項で「総会に提出する議案は、役員会において作成する」としています。そのあとは4月15日に配り、4月25日の総会で議決する流れです。日付は総会資料の記事の逆算と同じにしてあります。
テンプレートの下書きに、前年度の予算と決算を写すところから
ここまでの手順を、Excelのテンプレートにまとめました。空のファイルと、この記事の数字を入れた記入例の2つです。
自治会_予算案テンプレート.xlsxExcel 2016 以降と Google スプレッドシートで開けます。シートは「使い方」「下書き」「予算書(総会用)」「補正予算」の4枚です。科目だけ入っています。テンプレートをダウンロード入力するのは下書きのシートです。列は 科目 / 前年度予算 / 前年度決算 / 今年度予算 / 増減 / 決算との差 / 説明 の7つで、予備費は式で出ます。B6を「見込み」にしておくと、予算書(総会用)の前年度繰越金の説明に(見込み)と付き、締めたら「確定」に替えます。
確かめる欄(B37〜B43)では、収入と支出の一致や予備費のマイナスを見ます。年度の途中で組み替えるときは、補正予算のシートに補正額と理由を入れます。記入例のB7には美濃加茂市の「※科目間の流充用を認める。」を入れました。規約にこの決まりがあるときだけ書いてください。
予算案づくりで手間がかかるのは、前年度決算の列を埋める作業です。1年分の出納帳を科目ごとにたどり直すことになります。私たちが「自治会総合支援サービス」を作ったのも、この足し直しをなくしたかったからです。今日やることを1つ選ぶなら、前年度の予算書と、2月末までの出納帳を科目別に足した合計を、下書きのB列とC列に写してください。
よくある質問
予算案は、会長と会計のどちらが作るのですか。 規約で決まります。富田林市の参考例は第31条で予算を「会長が作成し」とし、第17条2項で総会の議案は「役員会において作成する」としています。私たちの目安は、数字の下書きを会計が受け持ち、役員会で原案にする分け方です。
総会が4月で、年度が始まってから予算が決まります。それまでの支払いはどうしますか。 所沢市の規約作成例第29条2項と富田林市の参考例第31条2項は、総会で予算が決まるまでは前年度の予算を基準に収入支出できるとしています。自分の規約に同じ一文があるかを確かめてください。
予備費はいくらにすればよいですか。 割合の目安は、私たちが見た手引きには見当たりませんでした。予備費は収入合計からほかの支出を引いた残りで決まります。例の会は27,960円(12.8%)、前年度は20,100円(9.1%)、美濃加茂市の記載例は31,000円です。マイナスになったら支出を見直します。
前年度に予算を決めていませんでした。何をもとに作ればよいですか。 前年度の決算(収支報告書)をもとにします。下書きの前年度予算の列は空けたまま、前年度決算の列に決算額を写し、支出はすべて決算に寄せて置きます。今年度の予算書を総会で決めておけば、次の年度からは予算と比べられます。
出典
- 所沢市自治連合会・所沢市『自治会・町内会運営マニュアル』(PDF)。規約作成例第29条(p.9、PDF 14枚目)、予算書の作成例(p.12〜13、PDF 17〜18枚目)、予算書の説明(p.24、PDF 29枚目)。
- 美濃加茂市『自治会活動に活用できるテンプレート集』予算書、決算書、差引簿(記載例)(ページ、記載例PDF)。予算書(案)記載例の列、予備費、「※科目間の流充用を認める。」、【ポイント】(PDF 1枚目)。
- 富田林市『参考例:町会・自治会会則(規約)』(PDF)。第15条4項(p.3)、第17条2項(p.4)、第31条(p.5〜6)。
- 神戸市『自治会活動ハンドブック』別冊2 自治会規約(会則)(PDF)。規約例1の第7条、第11条、第12条。
- 座間市自治会総連合会『自治会出納帳マニュアル』(PDF)。支出に関する科目及び項目の予備費の説明(PDF 5枚目)。
- 一宮市総合政策部市民協働課『町内会 会計事務の手引』2026年4月1日発行(PDF)。予算書の説明(p.3)。
この記事はAIが下書きし、運営者が内容を確認して公開しています。制度や手続きは自治体や団体の規約によって異なります。お住まいの市区町村で自治会を担当する窓口の手引きも、合わせて確認してください。
