議長は誰に頼めばいいのか。議題に無い話が出たら、その場で決めてよいのか。1月の役員会で「今年の議長は誰にするか」が話に出ました。規約を開くと「総会の議長は、その総会において、出席した会員の中から選出する」とだけあります。去年の議事録の最後には「その他 会員から集会所のエアコンを買い替える提案があり、協議した」の1行。採決したのか、何人が賛成したのかは書いていません。

法人でない自治会では、総会の議長の決め方も、議題に無い提案(緊急動議)の扱いも法律に定めがなく、規約に従います。議長は、規約例では出席した会員から選ぶ形と、会長が務める形の2通りです。法人の自治会(認可地縁団体)は、規約に別段の定めが無いかぎり、通知した議題しか決められません(地方自治法第260条の15・第260条の17)。

この記事の例は、会員30人(個人で数える)の法人でない自治会です。去年は本人出席11人・委任状6・書面表決書4で、出席とみなす数は21人。定足数の記事と同じ会です。私たちは自治会の会計のクラウドを作る会社の編集部で、弁護士ではありません。私たちの読みや提案は、そうと書きます。

総会の議長は誰がやる? 規約の議長の条で、出席者から選ぶか会長かが決まります

一宮市の手引は「任意団体である町内会(法人格を持たない団体)には、運営について法律等で決められたルールはありません」と書いています(p.1)。議長を誰にするかも、規約の文面しだいです。

取手市の規約例第18条は、この例の条文と同じ文です。留意点②は、会長も会員の中から選ばれているので「『総会の議長は、会長がこれに当たる。』と規定しても差し支えありません。」としています。北秋田市の規約例も第19条が同じ文で、解説も同じ扱いです。

もう一方の形が、総務省の『コミュニティ団体運営の手引き』にある会則の例です。第10条は「総会は,会長が議長となり,次に掲げる事項を審議し,議決する。」です(p.129)。

規約に議長の決め方が無い会はどうするか。小樽市総連合町会と小樽市の『町内会運営マニュアル』は「議長の選出には自薦と他薦があり、いずれの場合も出席者の同意を得ることが必要です。」と書きます(p.7)。候補者の案を事務局で決めて本人に伝えておく方法も挙げています。

地方自治法の認可地縁団体の条(第260条の2〜第260条の49)にも、議長の決め方を書いた条はありません。e-Gov の法令データでこの範囲の本文を当てると、「議長」の語は1度も出てきません(2026年11月3日に確認)。

議長の決め方と、議題に無いことの決議

資料議長議題に無いことの決議出典の箇所
取手市 規約例(法人向け)出席した会員の中から選出。会長が当たると規定しても差し支えない総会の章に見当たらない(法人は第260条の17)第17条3項・第18条と留意点
北秋田市 規約例(法人向け)出席した会員の中から選出。会長が当たるとも定められる総会の章に見当たらない(同上)第18条3項・第19条と解説
総務省 手引きの会則の例会長が議長総会の章に見当たらない第9条2項・第10条(p.129)
小樽市 町内会運営マニュアル自薦と他薦。出席者の同意が必要軽易な事柄は同意を得て議決してよい。重要事項は意見を聴くだけにとどめる場合もp.7・p.8
地方自治法(法人の自治会)定めた条は無い(第260条の2〜第260条の49に「議長」の語なし)通知した事項のみ。規約に別段の定めがあれば別第260条の15・第260条の17

表は指で横に動かすと、右の列が見えます

出典: 取手市・北秋田市の規約例、総務省の手引き p.129、小樽市のマニュアル p.7〜8、地方自治法。「総会の章に見当たらない」は私たちが総会の章を読んだ範囲

議長を選ぶ場面の司会の言葉と時間割は総会の進め方の記事に、議長挨拶の原稿はあいさつの記事に書きました。

会長が議長でも構いません。議案の説明は別の役員に、可否同数の1票は規約で確かめる

会長が議長を務める形は、取手市の留意点②が認め、総務省の会則の例もこの形です。神戸市の『自治会活動ハンドブック』は「議長は中立・公正な立場で議事を進行します」と書いています(p.13)。

会長は、事業報告や事業計画を説明する側でもあります。説明した本人が諮ると質問が出にくくなるので、私たちは、会長が議長の年は説明を副会長など担当の役員に任せることを提案します。

議長の1票も規約の文面しだいです。可否同数のときは、取手市の第20条が「議長の決するところによる。」と定めます。留意点④は、議長は「会員としての固有の表決権を行使するほかに、議長としての表決権も行使することができる」と説明します。北秋田市の第21条の解説も同じです。所沢市の規約例は逆で、第24条2項に「議長は会員として議決に加わる権利を有しない。」とあります(p.8)。神戸市のハンドブックも、議長は「通常は議決権を有しません。」と書いています(p.13)。違いは規約のひな形の記事にあります。

役員の1票はどうか。規約例(取手市)では、第21条が「会員は、総会において、各々1箇の表決権を有する。」、第10条が「役員は、総会において、会員の中から選任する。」です。文言どおりに読めば、役員もほかの会員と同じ1票を持ちます。

緊急動議とは、議題に無いことをその場で出す提案。質問や意見とは扱いが違います

小樽市のマニュアルは、総会での発言を3つに分けています。「発言には、『意見』・『質問』・『動議(※)』の3種類があります。」。注には「※動議…会議中に予定議案以外の議題を会員が提出すること。また、その議題をいう。」とあります(p.9)。

例の会で考えます。「決算の交際費は何に使ったのか」は、決算の議案についての質問です。「集会所のエアコンを今年度中に買い替えよう」は、どの議案にも無い議題を出しているので動議に当たります。去年の議事録の1行は、こちらでした。

同じページには「一時一件の原則:一時に一つの議題しか検討することができない」とあります。決算の質疑の途中でエアコンの話が出たら、決算の採決を終えてから扱います。

当日、役員の候補に別の人が名乗り出るのは別の話です。小樽市は役員改選を「まず、新役員の立候補者を募り」と議案審議の中に置いています(p.8)。役員を選ぶ議題で諮ります。

法人でない自治会の緊急動議は規約しだい。定めが無ければ軽い事柄だけ採決

まず規約の招集の条を開きます。通知は、取手市の第17条3項だと「会議の目的たる事項及びその内容並びに日時及び場所を示して」文書で出します。北秋田市の第18条3項は5日前までに出す形で、総務省の会則の例(第9条2項、p.129)も目的と内容、日時と場所を示します。小樽市は、議題などを分かりやすく書いて1か月前までに知らせるよう勧めています(p.7)。

3つの規約例は、総会の章に「通知した事項についてのみ決議できる」という条が見当たりませんでした。取手市と北秋田市は法人向けの例なので、法律の第260条の17に任せていると私たちは読んでいます。自分の会の規約にあればそれに従い、無ければ小樽市の目安が使えます。

「当日の議題に上がっていない事柄について出席会員から提案があり、その提案が他の会員から支持された場合は、軽易な事柄であれば会員の同意を得て協議し、議決してもよいと考えられます。」「ただし、財産の処分や高額資産の購入などの重要事項については、意見を聴くだけにとどめ、必要であれば役員会で協議するか、次回総会または臨時総会で改めて議題に採り上げ、十分協議する方がよい場合もあります。」(小樽市のマニュアル p.8)。

「考えられます」「場合もあります」と、決まりでなく目安の書き方です。例の会なら、「総会の案内を来年から回覧板と一緒に配る」は軽い事柄で、同意を得れば採決できます。集会所のエアコンの買い替えは、小樽市の言う「高額資産の購入」に当たると私たちは見ています。規約の変更・役員の解任・会費の額も重い側に置くのは、私たちの区分です。

議題に無い提案が出たときの議長の4段
  1. 提案を受け止め、ほかに賛成の人がいるかを聞く
    小樽市 p.8 の「他の会員から支持された場合」が土台です
  2. 規約の招集と議決の条で、議題に無いことを決められるかを確かめる
  3. 軽い事柄なら出席者の同意を得て採決し、お金や財産のことは意見として伺う
  4. 扱いを読み上げ、書記に議事録へ書いてもらう

議長が口にする言葉も、私たちの文例として用意しました。受け止めるときは「ただ今のご提案は、本日の議題にはありません。ほかに、このご提案に賛成の方はいらっしゃいますか。」。軽い事柄で規約に制限が無ければ「軽い事柄ですので、この場でお諮りしてよろしいでしょうか。」と聞き、同意を得てから採決します。重い事柄なら「お金や財産に関わることですので、本日はご意見として伺い、役員会で検討して次の総会にお諮りします。」。

規約に「議題に無いことを決められる場合」を書き足すなら、規約の改正手順の記事の流れで進めます。

法人の自治会は、通知した議題しか決められません(地方自治法第260条の17)

自分の会が法人かどうかは、認可地縁団体の記事で見分けられます。

第260条の15は、招集の通知を「総会の日より少なくとも五日前に、その会議の目的である事項を示し」て出すと定めます。第260条の17は「認可地縁団体の総会においては、第二百六十条の十五の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」です。

法人の自治会は、規約に別段の定めが無ければ、通知した議題しか決められません。 当日の提案は、軽い重いを問わず、その総会では決議できません。決めるなら、次の総会の案内に議題として書いて通知します。通知の日数は総会資料の記事にもあります。

規約を変える提案なら、数の面でも届きません。法人の規約の変更には、規約に別段の定めが無ければ会員全体の4分の3、30人の会なら23人の同意が要ります(第260条の3第1項。定足数の記事と同じ数)。出席とみなす21人では、全員が賛成しても足りません。このときの議長の言葉は、私たちの文例では「本日の議題として通知していない事柄は、この総会では決められません。ご意見として記録に残します。」です。

法人でない自治会と、法人の自治会

法人でない自治会

  • 規約しだい。無ければ小樽市の目安
  • 軽い事柄は、出席者の同意を得て採決できる
  • お金や財産のことは意見として伺い、持ち帰る

法人の自治会(認可地縁団体)

  • 通知した事項だけ決議できる(第260条の17)。規約に別段の定めがあれば従う
  • 通知は5日前までに、目的を示して(第260条の15)
  • 当日の提案は意見として記録し、次の総会へ

その場で採決するなら、数えられるのは本人出席の11人。出席とみなす21人の数え方

法人でない例の会で、軽い事柄を採決するとします。欠席する会員は、取手市の第22条により、「あらかじめ通知された事項について」書面などで表決するか、代理人に表決を任せられます。2項で、その会員は定足数と議決の条について「出席したものとみなす」とされます。

書面表決書の4人は、案内に書いた議題にだけ賛否を書いています。当日の提案には賛否を出せません。委任状の6人分は、委任状の文面と規約しだいです。総会全体を任せる文面の見本もあり、委任状の記事の表で比べました。確実に手を挙げられるのは、本人出席の11人です。委任状の代理人も手を挙げてよい会なら17人になります。

議決は、取手市の第20条だと「出席した会員の過半数」です。分母を出席とみなす21人と読むと、可決に要る賛成は11人。本人出席の11人が全員賛成して、やっと届きます。同条の留意点②は「議決数には、第22条の書面表決を行った会員及び委任により代理行使した会員の数を含みます。」とし、北秋田市の第21条の解説も同じです。議題に無い提案のときの分母を書いた資料は見つからず、21人は規約の文言どおりに読んだ私たちの読みです。分母を賛否を出した人だけにする規約なら、定足数の記事の「有効票の過半数」の数え方になります。

議題に無い提案に、誰が賛否を出せるか

区分人数議題に無い提案に賛否を出せるか
本人出席11出せる
委任状6委任状の文面と規約しだい
書面表決書4出せない(通知した議題だけに書いている)
出席とみなす数21—
可決に要る賛成(出席した会員の過半数)11—

表は指で横に動かすと、右の列が見えます

会員30人(個人で数える)の自治会の例。出席の内訳は総会のほかの記事と同じ。分母の読み方は規約の文言どおりに読んだ私たちの読みです

会長をやめさせたいという提案は、その日に決めず、臨時総会の手続きを示す

議題に無い提案で、私たちがいちばん重く見ているのが役員の解任です。小樽市の目安なら、意見を聴くにとどめ、次回か臨時の総会で議題にします(p.8)。

議長が示せるのは、臨時総会への道筋です。臨時総会を開く場合として、取手市の第16条2項(2)は「総会員の5分の1以上から会議の目的たる事項を示して請求があったとき。」を挙げます。30人の会なら6人です。北秋田市の第17条2項②も5分の1で、請求から30日以内に招集します(第18条2項)。法人の自治会も第260条の14第2項で、規約で別の割合を定めていなければ同じ6人です。

解任の手続きそのものが規約に無い会もあります。参考になるのは取手市の第12条の留意点②で、「役員の解任の手続きを定める場合は、選任の手続きと同様の定めをすることが必要です。」としています。

持ち帰った提案も、議事録に残します。議事録には、取手市の第23条1項(4)が「議事の経過の概要及びその結果」を書くとしています。私たちの文例はこうです。「その他として、○班の○○○○氏から集会所のエアコンを買い替える提案があった。議長は、本日の議題に無い重要事項であるため意見として伺い、役員会で検討して次の総会に諮ることとした。」。書き方は議事録の記事にあります。

議長の手元表に規約の条を写し、議題に無い提案が出たら1行書く

ここまでの判断を、Excelの手元表にしました。シートは「使い方」「規約の確かめ」「当日出た提案」「議事録の下書き」「議長の台本(印刷用)」の5枚です。

「規約の確かめ」には、法人かどうか、議長の条の番号、「通知した事項だけ決議できる」という条の有無、去年の出席の数を入れます。すると「出席とみなす数」「議題に無い提案に賛否を出せる数」「可決に要る賛成」「数の確かめ」「議題に無い提案の土台」が出ます。記入例では21、11、11で、土台は「規約に定めなし:小樽市の目安で扱う」です。

当日は「当日出た提案」に1行書き、「事柄の重さ」を選ぶと「扱いの目安」が出ます。目安と違う扱いや、賛成の数が足りない採決には「確かめ」に注意が出ます。「議事録の下書き」には行ごとに1文ができ、A4縦1枚の「議長の台本(印刷用)」には議長の言葉の4場面と写した条の番号が載ります。

自治会_議長の手元表.xlsx の見本。1 枚目のシートの上部自治会_議長の手元表.xlsx空のファイルです。シートは5枚。見本の画像は「使い方」のシートで、「何をする」「どこに入れる」の列に3段の手順があります。テンプレートをダウンロード
自治会_議長の手元表_記入例.xlsx の見本。1 枚目のシートの上部自治会_議長の手元表_記入例.xlsxこの記事の例(会員30人、出席とみなす21人)を入れたファイルです。見本の画像は「当日出た提案」のシートで、エアコンと回覧板の2行が入っています。テンプレートをダウンロード

議長が当日読む条は、規約を手元に置いて確かめます。次の役員会までに規約の総会の章を開き、議長の条の番号を「規約の確かめ」に写してください。

よくある質問

議長は役員でなければいけませんか。 私たちが見た規約例に、役員に限る形はありません。取手市と北秋田市は「出席した会員の中から選出する」で、会長が務める形(総務省の会則の例)もあります。

議長も採決で手を挙げてよいですか。 規約の議決の条によります。取手市は議長の自分の1票と可否同数のときの1票を認め、所沢市は議長は議決に加わらないと書きます。

当日、役員の候補に別の人が名乗り出たら、どうしますか。 「役員の選任」の議題で諮る話で、議題に無い提案とは別の扱いです。小樽市のマニュアルは、立候補者を募り、いなければ候補者を紹介して議決を求めます(8ページ)。

動議を出すには、何人の賛成が要りますか。 人数の決まりは、私たちが見た資料には見当たりません。小樽市のマニュアルは「他の会員から支持された場合」が目安です(8ページ)。規約に定めがあれば従います。

総会の後で、議題に無かった提案を改めて決めたいときはどうすればよいですか。 次の通常総会の案内に議題として書くか、臨時総会を開きます。規約例では総会員の5分の1以上が請求すると開き、30人の会なら6人です。

出典

  • 地方自治法(e-Gov法令検索)。第260条の3、第260条の14、第260条の15、第260条の17。
  • 取手市『認可地縁団体 規約例と作成上の留意事項』(PDF)。第10・12・16〜18・20〜23条と留意点。
  • 北秋田市生活課『北秋田市 認可地縁団体用 自治会 規約例(解説つき)』(PDF)。第17〜19・21条と解説。
  • 総務省『コミュニティ団体運営の手引き』より「【参考】会則について」(2010年3月31日公表、PDF)。会則の例 第9条・第10条(p.129)。
  • 小樽市総連合町会・小樽市『小樽市町内会運営マニュアル』(2025年3月、PDF)。p.7〜9。ページは冊子の番号。
  • 一宮市総合政策部市民協働課『町内会 会計事務の手引』(2026年4月1日発行、PDF)。p.1。
  • 神戸市『自治会活動ハンドブック』Ⅱ 自治会の運営(PDF)。p.13。
  • 所沢市自治連合会・所沢市『自治会・町内会運営マニュアル』(PDF)。規約(会則)の作成例 第24条2項(p.8)。

この記事はAIが下書きし、運営者が内容を確認して公開しています。制度や手続きは自治体や団体の規約によって異なります。